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1: ディジェイヌ
2026-07-12 21:18:52 NWExZjY0(1)

桜舞う入学式にひょんな巡り合いを経た、真直ぐで快活な剣道少年と可憐でたおやかな茶道少女。
互いに奥手ながらも学園生活を通して想いを馳せる純情派(違くね?)物語....

──────────
『嶺堂聖櫻日誌』と迷った末に(なんか面白味がなかったので)コチラをメインタイトルにしました。

瀬莉さんの町娘気質からして、この子で書くなら主は武士系が良いという謎の感情を拗らせて始めた、嶺堂隆と川上瀬莉のどこか古き良き空気を感じる(?)交流をメインにやっていきます。
※一応日常メインのハズですが作者的な大人の事情で頻繁にレイド回が出そうです、悪しからず( ノ;_ _)ノ

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18: ディジェイヌ
2026-07-15 23:18:18 Zjg3MzJh(15)

――――――――――――――――――――

ーーあの夜、僕は連日イヤな夢を見ていたこともあって寝付けず、なんとなく夜分だが少し出歩かないと心が落ち着かなかったのだ。
元々その日は妙な二人組に言い寄られていたのも恐らく原因だろうね。
宛もなくフラフラと歩いていた時、奴に声を掛けられた。
「モシ、そこのMr.サムライ。何やらソーソー(いまいち)なゴヨースデェスネ。」
へ?不意に投げ掛けられた言葉に振り返るとやはりその人物は笑いながら佇んでいたではないか。
「タチバナシもナンですカラ、お話はそこでしまショウ。」
促された僕は自分が洋式の居酒屋ーー所謂バーの前まで歩いていたことに気付いたんだ。
「アナータ、洋酒ワ馴れてなさそうデースネ。コチラとか如何デェスカー?」
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19: ディジェイヌ
2026-07-15 23:19:31 Zjg3MzJh(15)

※ ※ ※

「村雨様、どうもお待たせしてすみません。」
「あいや気になさるな。そなたに何かが判るのであらば越したことはない。」
対面に正座し、頭を下げる宮司に笹露も笑いながら答える。
すぐに表情を引き締めた宮司はまっすぐに彼を見据えると再び口を開いた。
「良いですか村雨様。今から行うのは神聖なる儀の作法です、間違いは許されません。」
あ、ああ。キリと鋭い眼で言う物々しい雰囲気に思わず笹露も息を呑むが、立ち上がった宮司はすぐに御神体らしき物に向き直り、数秒拝んでから供えてあった盃二枚と徳利一本を手に取り戻ってくる。
この場で宴でもするつもりだろうか…少々不思議そうに宮司を見ていると、特に何かを思ったようでもなく、とくとくと盃を満たしていくではないか。
やがて漂う香りは、見た目の通り酒で間違いなさそうだ、二杯も用意してどういうつもりだろうか。
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20: ディジェイヌ
2026-07-15 23:20:54 Zjg3MzJh(15)

「あらぁ、今日の助勤さんは男の子なのね。」
「あ、どもっす...」
「お辞儀の角度が甘ァい、やり直しですっ!」

「すみません、こんな服の子を...」
「んあ?その子やったらトイレ行っとったよ。」
「その態度は参拝者に失礼じゃないですか?」

「おっちゃん細かいなぁ。」
「おっちゃ...!?私の厳しさは参拝者の笑顔の為です。たとえ代理でもしっかり勤め上げて頂きますよ。」
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21: ディジェイヌ
2026-07-15 23:24:08 Zjg3MzJh(15)

『あらたん!奈央と時谷先輩と明日ショッピング行くことになったけど、川上さん達も一緒に行くことになったんだ〜。大丈夫だよね?』

・・・

一瞬、なんやと思った。
こんなこと自分に言うもんかと思ったが、わざわざ連絡してきたことを踏まえると瀬莉の他は笹露や隆なのだろう……

イヤ待て待て待て、瀬莉や隆はまだしも笹露まで…?

『どゆこと???』
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22: ディジェイヌ
2026-07-15 23:24:27 Zjg3MzJh(15)

「あれ…?」
「ん?なんですか部長〜」
「和泉アラタですね。彼がどうかしましたか…?」
「あ、イヤ。ちょっとね〜……」


・・・

はぁ……ため息をひとつ、河原で胡座をかくアラタは脱力する。
「どうすっかなぁ……」
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23: ディジェイヌ
2026-07-16 21:26:07 NmE0YTIy(15)

※ ※ ※ ※ ※ ※


「えーっと確か4人が向かっていたのは……っと。」
あれ?ふと振り返ると、先まで連れ立っていた青年の姿は無い。
「む、困ったな。こんな短距離なのに村雨君と逸れてしまったと言うのか……!?」
まだ先の通路から隣棟へ移り角を曲がったばかりだ、結構長いとは言えまっすぐついてくれば極端にズレる程ではないだろう。

……はっ!

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24: ディジェイヌ
2026-07-16 21:27:05 NmE0YTIy(15)

「マジかよ、ここって……!?」
ゆららがしばし水晶を眺めてからアラタのマップアプリを覗き込んであれこれと指示を受けて場所を特定していく……とその行方に驚きを浮かべたアラタはすぐにジェットボードを取り出すと二人で乗って飛び立っていった……

暫くしてから降り立ち、アラタは確かと思い返しながら目的地へ走った。
この辺やったな、呟きながら駆け付けると、すでに見知った影が佇んでおり……

「ん…?和泉さんっ!なぜここに!?」
「おぅおっちゃん!なんかあったんか!?」

示された先ーー隣町の神社で心当たりのある蔵を目指すと、既に宮司も何かを感じ取っていたらしいではないか。
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25: ディジェイヌ
2026-07-16 21:39:39 NmE0YTIy(15)

―――――――――――――――――――

「……」
「笹露、殿……?」
「お身体が、悪いのですか……?」
突如胸元に光が宿った笹露は依然座り込んで項垂れたままだ。
「油断は禁物ですよ。」
「どうなってるの?」
「さぁな。ゆららさん、今のは……?」
「すぐにわかるよ。」
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26: ディジェイヌ
2026-07-16 21:43:07 NmE0YTIy(15)

―――――――――――――――――――

「こンのおバカっ、いい加減におしよ!!」
一瞬の出来事に我に返るより先に女性の声と鈍い痛みが額を襲った。
「痛った!な、何をするんだ!?」
思わず頭を擦りながら状況を把握できずに目を向けると、馴染みの少年少女達はいない。
加えていきなり頭を締め上げる腕の感触に困惑した。
「何をすんだはこっちの話だよ!自分が探してる人の顔も忘れっちまって!挙げ句に全く関係ないしアンタよりずっと若い娘さんを姉さんだなんて、ふざけんじゃないよ!」
「うわわっと!やめてくれ!!」
何故だか懐かしい温もりを感じながら慌てて振り払った拍子に笹露は尻餅をつく。
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27: ディジェイヌ
2026-07-16 21:43:43 NmE0YTIy(15)

「……」
「ボクなりに考えたことをまとめるわ。」
茫然とする笹露にアラタは口を開く。
「瀬莉さん、たしか言うとったよな?」
アラタは問いながら彼女が見たという光景を思い返す。
帰路で笹露と出会い別れた際に何気なく見たカーブミラー、そこにはちょうど曲がり角を去る彼の姿……


が、無かった。
そこまでの距離でも無かった為に違和感を抱き、振り返ればたしかに彼が曲がって行く瞬間を見届けたのだ。
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28: ディジェイヌ
2026-07-16 21:43:58 NmE0YTIy(15)

「ありがとうございます、志藤さん!」
「この御恩は必ず……!」
「良いよ、頑張りたまえ。」

・・・

会釈をしながら自動車を降りる少女2人、軽く手を振って見送った彼は再びアクセルを踏み出した。

[あっれ、行かんのかい?]
「ワタシが行ったところでどうなることでもないしね。なにより少年少女が自ら向き合おうとしているんだ、水差しなんてできないさ。」
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29: ディジェイヌ
2026-07-16 21:50:36 NmE0YTIy(15)

―――――――――――――――――――

「おーしろか。雛菜ちゃんどこおるか知らん?」
放課後、アラタは教室を出てから見かけたしろかに聞く。
「知らん。大体ずっと雛菜さんばっか見てるお前が知らんのにわかるわけなかろー」
「それもそっかすまんすまん。」
「・・・」
たまたま通りがかりで傍観していた六花の微妙な表情を気に掛けるでも無くそれぞれが再び去っていく。

「村雨笹露の一件はなるようになっただけに過ぎない。いつまでも思い悩んだって仕方ないさ。」
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30: ディジェイヌ
2026-07-16 21:53:25 NmE0YTIy(15)

※ ※ ※

「デェーッハッハッハァ、プロ選手になって良い生活をしてみたいんだろぅ小市民共ぉ!」
「カネなら幾らでもくれてやるゥ。さぁ、私達のチームに入るんだぁ〜!」
市街地の一角、通行人達が訝しむ中で2人の影が声高に捲し立てる。
アラブ系の男達、クミンとコリアンドだ。
アタッシュケースに詰められた札束を見せびらかすように口々に言うが、
「テメーらまた来よったんかコラァ!」
それを遮るように威勢の良い声が響き、振り返った2人はサングラスの奥に驚愕を浮かべた。
「ンッゲェエ!?和泉アラタぁ〜!?」
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31: ディジェイヌ
2026-07-16 21:53:43 NmE0YTIy(15)

「そうか、お姉さんと…。良かったじゃないか。」
すごい偶然もあるものだな。
手芸部室、小瑠璃は隆と瀬莉の話に感心とも呆れともつかない言葉を返した。
「それと、『直接謝るのが道理だと思うが無理に会えば怖がらせるだろうしこちらも合わせる顔が無い』と、代わりに謝って欲しいと……」
「あっはは。全くぅ、何を言っているのだそんなことくらい。」
あっけらかんと笑う小瑠璃に、隆と瀬莉は少し驚いた顔を見せる。
「時谷殿、それだけ、ですか……?」
ん?やや不思議そうな隆の言葉に小瑠璃も逆に首を傾げた。
「そりゃまぁあの時は流石に驚いたさ。だが、滅入ってる時はストレスだって溜まりやすいし気が動転するくらいあるだろう。」
はぁ……常人からすれば不条理な狂気を非難するでもなく怯えるでもなく、彼女は当然のように返す。
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32: ディジェイヌ
2026-07-16 22:20:05 NmE0YTIy(15)

―――――――――――――――――――

さてと帰るか……
軽く振り返り、無様にボロボロなビルへもう一度目を向ける。
笹露との約束は果たせたし、いつまでもあんなしょうもない連中に構っていては時間の無駄だ。
どうせ彼の感謝すらあの愉快犯集団には知ったこっちゃないと響きもしないのだろう。
ならばこちらとて同じことだ、奴らが今後何を考えてどう動こうがブッ潰したろうやないか。
そんな事を考えながらアラタは市街地を抜け、学園への帰路を歩み進めていく……

「オイコラ、やっと見つけたぞテメェ……」
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33: ディジェイヌ
2026-07-16 22:20:44 NmE0YTIy(15)

―――――――――――――――――――

どこからお話すべきですかね……
とりあえず、ワイズは指を立てて切り出した。
「賢い貴方ならばもうご明察のことと思いますので結論から言いますと……彼は言うなれば『疑似眼魔』と言ったところですね。」
ガンマ……当時笹露を巡った諸々や、彼が消滅する寸前に転がり落ちた義眼状の器具から留意していた事象が挙がり、やはりとアラタは頷いた。

ーー強大なる魔力『マギア』を巡った先月の抗争、コトの始まりはあの時でしたね。
確か学園にいらした方々は軒並み寝入ってしまい、貴方は弊社のお客様とカチ遭っていらしてたんでしたっけ?
貴方はそちらで手一杯だった一方で所謂『怪人』も聖櫻学園を訪れていたようなのですよ。
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34: ディジェイヌ
2026-07-16 22:20:59 NmE0YTIy(15)

ーーねぇ、ミカド?ーー
「……?どうしたノア。」
ーーここしばらく不安定だった気配のことは覚えてるわよね?ーー
「ああ、たしか眼魔だろ?オレの友達が対処したのとは別にいたって言う……」
ーーええ、それなんだけどこの数日でパタリと消えたみたいなの。また出てくるかと様子見はしていたけど、どうも完全に消失したようね……ーー
「っ……そっか……」
ーーミカド?随分と清々しい表情ね……ーー
「ああ、いや。なんとなくわかるんだ。きっと友達…アラタがどうにかしてくれたんだろうなってさ。」

――――――――――――――
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35: ディジェイヌ
2026-07-16 22:46:23 NmE0YTIy(15)

「はぇ~、そんな事があったんだな…」
「すまねぇ!ほんっとに悪かった!!」
「いや、わかってくれたならエエて。土下座とかもせんでもろて。」
どこか驚いたような反応の楓太をヨソに、地に這いつくばるようにして頭を下げる姿を困惑まじりでアラタが制すると男ーー剛太は立ち上がった。
それに、アラタは表情を引き締めると彼に今一度顔を向ける。
「なんとなくわかる。アンタも唆されたクチやろ?なんか覚えてたら教えてくれへん?」
あ、あぁ……剛太は気まずそうに口を開く。
ーーどうも淳や泉と別れた後に、彼は一人の人物から声をかけられたらしい。
「アナータのシゼンをラブするココロ、ベリーグレイトデェスねぃ。」
奇妙な語調で言い寄ってきた人物は初老のアメリカ人らしき男性だ。
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36: ディジェイヌ
2026-07-16 22:46:58 NmE0YTIy(15)

※ ※ ※ ※

「シャーッ!キャンプ、キタァーッ!」

時はゴールデンウィーク、晴れ空に照らされた桜岳の川辺で楓太が両手を振り上げて叫ぶ。

「いやはや…ジブンが言うのもなんですが、行楽日和ですな。何気に我々にアラタ氏がいないのはかなり久しぶりな気がしますなぁ。」
「渋木くん、言ってもまだ会ってから一ヶ月前後くらいだけどね…」
「ま、アラタの奴も予定があるみたいだしな。久し振りにはこのメンツでも良いんじゃないか?」
大一の雑感に介斗が応え、淳が笑いながら口を挟む。
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37: ディジェイヌ
2026-07-16 22:48:01 NmE0YTIy(15)

「せーんぱいっ、お待たせ!」
暫しいた自習室を後にし、昇降口で準備を整えていると、不意に溌剌とした声が響く。
自ら言うのもなんだとは思うが、彼女がこんな楽しげに声を掛ける相手は今一人しかないないであろう…
「おう、泉。俺も来たところだよ。」
「えっへへ。淳先輩は優しいなぁ〜」
笑い合う男女ーー淳と泉だが、暫く歩いていると不意に何やら耳馴染んだ声があれやこれやと言葉を交わす様が耳に入ってくるではないか。

「大バツです!何かの間違いですッ!」
「落ち着けって、そりゃオレらもわかってるからさ。」
「当然ですぞ、アラタ氏がそんなことをする筈も無い…」
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