19: ディジェイヌ
2026-07-12 18:42:27 NWExZjY0(34)
ーーーーーーーーーーーーーー
フフフ.....実に愉快だ、思わず笑いが込み上げてしまう。
当然か、こんな猿芝居で見事にトントン拍子が進むなどとは思うまい。
僕に不可能はない....そんなことを考えながら、奴は高速道路を疾走していた。
後は適当に話を合わせればこちらの勝ち、つまりは全て筋書だ。
全くこの程度で乗せられてしまうのが恐ろしい。
ーー僕が殺人犯でなくて、みんな本当に幸せだなぁ.....そう、完璧なんてこの世にはない。僕を除いてね。ーー
「随分と機嫌良いね。」
!?彼はクイックと言ったか。
...もっと見る確かあそこにいた連中の中では特に頭が回るらしい、先程も危ないところまで踏み出された。
もう随分屋敷から距離を離した筈だがそんな彼が後ろから飄々と声を掛けたことに動揺を隠せない、しかしここは取り繕わねば。
「やぁ、キミか。あんな所は危ないからね、お役に立てそうもないし僕はもう居られないよ。」
キミもそのクチかい?おどけて言うとクイックは首を振りながら不敵に笑って返した。
「犯人に目星がついたから...ついでにソイツのミスを見つけたのでね、貴方にもお伝えしようと思いまして。」
※
さて、状況ゆえに「怪盗事件」のつもりで見てきた今回のことだが、結論から言えば「強盗」こそ現れたものの、「怪盗」はいなかった。
しかし....たしかに『犯人はこの中に居た』のだ。
まずは発端の犯行について考えようか。
なんてことはない、犯人は警備員に擬態したYAKATAトルーパーで間違いないだろう。
恐らく奴は警備員の格好をすれば怪しまれないと判断し、『人魚の涙を奪う』という任務を果たすつもりだった。
どこまでが想定内かはわからんが、恐らく宝物館に入った時点で予想外の事態になった訳だ。
それが『宝物館に入ったらブザーが鳴った。』
これは後程輪田警備長にご説明頂くが、金庫に触れたでもなく、関係者がーー況してや巡回の警備員が立ち入っただけでアラートが出るとは思わなかったトルーパーは狼狽した。
慌てて身を隠してからもう一度見に行くと既に宝物館には警備員が押し寄せ大騒ぎになっていたため、上の指示を聞いた通りに動いたと言うことだな。
ドジって宝物館に入る以上のポカはやらかさなかったために、アラートは鳴れどそれ以上の襲撃等の形跡は見られなかった訳だ。
補足するでー、通信から声が響いたのはアラタだった。
ーー多分指示出したんはワイズやな。
アイツのことやし、むしろ面白くなりそうだと思てわざと日付の書かれたメモを落とさせたんやろな。
それが怪盗よろしく計画性ある犯行かのように、アホかいな。
んで、そもそものトルーパーの侵入と翌日脱出手段はもう言うまでもないな、『メイドに擬態する』一択やろ。
メイドは出入りチェックが少しやさしめらしいのとワイズのチカラでどうにかしたんやな、買い出しから戻ったメイドに紛れて潜入し、同じ手筈で買い出しに出たメイドから離脱することで脱走した....花井さんや芳村さん達が当時の人数が曖昧っちゅーのはそういうこっちゃ。
ついでに、続けて通信を入れたのは優都だ。
ーーセキュリティのアレコレについても私から話しておこう。
何故、警備員の姿で入れなかったか...どんな技術でコピーしたかは知らんがカードキーを翳して開いたのに鳴られちゃあ驚くだろうな。
「つまり、それだけじゃダメな穴ーー『特殊な条件』ちゅうのがおっちゃん達の警備服にあるんやろ?」
日々喜様の言う通り、これを機にまたシステムを変更するからお話しします。
警備服には全員バラバラの場所に認証チップが内蔵されていてね、コレを着ていなくては宝物館のセンサーに反応せずアラートが鳴るようになっていたんだ。
カードキーや服装のような外面的な部分を真似ても、結局このトップシークレットを知らなかった彼らは失敗をしたのがコトの顛末だろうね。
「んまっ、そこはしぶといしぶといYAKATAカンパニーやな、セレスティア狙ってあの手この手とド派手にやらかしまくったわけや。」
呆れたように笑うアラタが再び切り出して言葉を続ける。
ーー事件後神経質な社長さんを襲いやがったジャージ、これはもう紛れもなくアタッカやろ。
んで、その場を鎧戸ガイが救ったのをきっかけにボディガードとして迎えたらしいけど、何となく気配とかで感じ取った通り、案の定鎧戸はウォリヤが擬態してたんよ。
つまりはアタッカを撃退したことで怯える社長に安心感を持たせて取り入るっちゅうヤラセだったわけやな。
しかもご丁寧にボクの前で堂々と宝石強盗をすることで件のメモと合わせてボクと、ボク経由で皆にコイツら自身がセレスティアを狙ってると印象付けて撹乱させたわけやな。
ちなみに鎧戸もといウォリヤがボク見てビビったのは呼ばれてないのにおったからやろ。
ーー概ねアラタが言ったのがYAKATAの手口だが、アラタの話通りならYAKATAの奴らはセレスティアを自ら狙うかのように偽装しただけで、『依頼者』のためにやっていたのには変わらない.....
で、その依頼者と言うのは言うまでもないな。
騒ぎの間にセレスティアを遠くまで運んだ後、皆が起きる頃にはシレッと居合わせてセレスティアはYAKATAに奪われたと誤認させて真相を藪に埋めるつもりだった者.....
『経歴不明でYAKATAの構成員が化けていたボディガード鎧戸ガイの旧知の仲』
『真偽はともかく職業上疑われるリスクが低かったからこそ敢えて同行させた者』
『そして今進行形で現場から逃げ出している.....』
[引用][返信][編集][削除]
[👍0][👎0][返信数:0][報告0]