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「あーもしもし、アタシやけど....なんかちぃとおもろいことになってきたわ。それでな.....」
不意に聞こえた声に耳を向けた先のベランダに入ると、日々喜が携帯片手にニヤつくではないか。
「んま、そういう訳やから。夜頃には準備頼むでー。」
「姐やんどったん?」
わお!驚きながら振り返った日々喜は軽く手を振って笑った。
「なになに。ちょいと友達と電話しとってなぁ。せっかくこんなとこに来たんやから自慢したろ思うたんよ。」
そーかい、拍子抜けしたアラタがふと顔を上げると通りがかった男ーー雅彦が見つけたと言わんばかりの顔をして寄ってきた。
「やぁアラタ君。調子はどうだい?」
...もっと見る「金ちゃん館長。まぁ色々聞いとるけど謎は深まるばかりやなぁ~。」
そうか.....雅彦は一息ついて続けた。
「すまないね。実は君が助手として連れてこられるというのは割と直前でね、志藤君が呼ばれていない者を同伴すると聞いたとき、共犯かとどこかで疑っていたんだ。」
「ま、まぁまぁホラ。言うたら勝手について来てネームバリューで居座っとるアタシも充分怪しいしなっなっ?」
そうなん?アラタが言うと気まずそうに日々喜が割って入ったが彼は続けた。
「でも、君がセレスティアについて訊ねた純粋な眼。アレを見て君が本当に詳しく知らずに来たって解ったんだ。ごめん、コウノトリ。」
ブッ!瞬間、アラタが爆笑しながら雅彦の背を叩くと気さくに返した。
「いんや気にすんなや。友達が危ない目に遭わされたって時や。コウノトリって、ウヘヘヘ....」
待てよ...笑い合う二人に呆れる日々喜、次に聞こえた渋厚な声はレンだ。
「和泉が依頼状読まなかったからって、シドーの野郎がセレスティア狙いじゃないとは言えねぇぜ?気紛れな奴なんだ。」
「そうかなぁ?ボクはりょーやさんがそんなん欲しがるとは思えへんのやけど。」
「私情を挟むな和泉クン、確りとした根拠を以て説明するんだ。サンはいらない。」
自分でやればエエのに...ふらりと領也が現れて言うと肩を竦めアラタは面倒臭そうに言葉をまとめる。
「そもそもよ、和泉にゃ依頼状が出てねぇ筈だ。シドーが渡したのは手筈でも書いてあったんじゃねぇのか?」
え?
レンの言葉に目を円くしたのはアラタ自身だ。
今一度懐から依頼状を取り出して目を通すと、一層驚きの表情を浮かべて瞬いた。
「うっわホンマや。りょーやさん宛になっとる...」
キミホントに読んでないんだね!?むしるように頭を掻いて呆れる領也に笑って誤魔化すと
「アッハハじゃないよ!」
「それに、事件起きたんは6/XXやろ?その日はしろかと実験しとって遊んでくれんかったからなぁ。」
実験?レンの問い掛けに答えたのは領也自身だった。
「うむ。敵のチカラについて色々と、ね。おまけにあの日はまだ感電から退院したばかりであまり無茶には動けなかったよ。」
「そやそや、ずっと家おったわ。何回電話でもーいーかいしても二人して拒否られたし。」
なるほどな...根拠として強いものは無いが一応長い付き合いだ、信じてみるか。
最後に、レンは前置きを付けて再び口を開く。
「そもそも、なんで和泉を独断で連れていこうとしたんだ?」
ああ、領也は手を叩くと不敵に笑って返した。
ーー元々はワタシだけのつもりだったんだ。
でも、もしかしたら超越不審者が絡む可能性と、状況的に冷静な対応が求められるであろう事態だ。
和泉クンは割と突っ走るタチだからねぇ、こういう場所で思考を鍛えるのもある意味修行かと、前日近くに思い付いて同伴させたのさ。
「はぇー、突っ走る、なぁ...」
ご協力感謝しているよ、笑いながら締めて去っていく領也に複雑そうに笑うアラタ、と、今度は日々喜が強気にレンを指した。
「さぁ、アホタの誤解は解いたんや。にーさんもこの際やし経緯言うてくれへん?」
ん?ああ。それもそうかと壁にもたれ、彼は口を開いた。
ーー俺は元々5月にここの募集受けててな。
そん時は『セレスティアはじめ家宝の保管庫を一新するための工事における護衛、警備』だったんだ。
まぁその縁で今回もどうか呼ばれてな、稼ぎが良いからノッたっつぅ訳よ。
それは私も保証するよ、雅彦がレンの肩を叩いて言葉を繋ぐ。
「確かに彼はお連れさんと一緒に来てたよ。その時の工事は無事終わり、様子を見ていた私も安心していた矢先であの事件だ。あの日付の紙で怯えていた竜斎が心配で今日もこうしてきたわけさ。何か役に立てるつもりも無いがね。」
「金ちゃん館長、ナーバスな時に寄り添えるヤツが一番嬉しいもんやで。」
「アラタ君...」「館長...」
「つぅか、豊永こそなんで来た?」
アタシか、妙な空気の二人を放って得意気に胸を反らせると日々喜は前に踏み出した。
ーーウチのホテルでウェイトレスの服がスゴくエエとこあったから無理言って着させてもろうてたんよ。
んで、一緒に働いとったら丁度オーダー持ってった席がアホタでな。
話聞いたら面白そうやったしついでについて来たんよ。
依頼状無いけど身分証明したら入れてくれたわ。
「いや...ザル過ぎねぇか?」
「まぁ、ここのセキュリティ建築携わったのウチらしいしな、そこは信頼してくれとるんやろ。」
ああ、そういうことか...納得したようにレンが頷いた。
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「よぅ、儂じゃぁ!久しいのぅ!実はちぃと手を貸して欲しくてな.....」
「おっ、クイック!」
アラタ、何やら笑いながら電話をかける鬼ヶ島の横で見かけた彼の姿に駆け寄るとアラタは切り出した。
「なぁ、色々話してたんやけど、ちょいと気になることがあってな。」
数秒受けた耳打にほぅとクイックも少し驚くと、ニヤリと笑った。
「実は俺も気になっていたんだ。」
「キミ色々詳しいみたいやしさ、なんか掴めるかな思うたんよ。」
「OK、任せておけ。じゃぁ、夜にな。」
気取ったウィンクを見せて笑むクイックに笑い返すと、アラタもニッカリとサムズアップを向けて別れた.....
「でもぉ、なんか忘れとるよーな......?」
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「念入りに締め切った社長の家。判ったぞぅ!つまり今夜事件が起きれば犯人はッ、この中にいるッ!!」
そらそーや、日々喜が呆れながら呟いた。
夜のミーティングルーム、警備に回っている鬼ヶ島とレン、メイドとして勤しむセラを除いた立会人達が並ぶと、状況整理を始める。
少なくとも今回のメンバーに動機が見当たらないこと、警備員とメイドが経験した人数が合わない現象。
色々纏めていく中でアラタが口を開いた。
「やっぱり何か強行突破か紛れたかしたんやないの?」
「いや、状況からしてそれはあり得ないんだ。」
切り出したのは優都だった。
ーーここのセキュリティはうちの警備会社とトヨナガの協力で造り上げたモノでね。
当然、無理に塀を破壊したり上空から乗り込もうモノなら宝物館とは別に問答無用でサイレンが鳴るんだ。