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「どーうなったかなぁ?」
頬杖を突きながらアタッカはぼーっとテレビに見入る。
「馬鹿野郎が、ジャマモノが失せたうちに仕事しろ。」
へーいへい、渋々リストを取り出し、顧客情報を整理している傍らでワイズはモニターに映る倉庫の箱を数えていた。
「さてさて、彼らはこれからどうなりますやら。喜びの握手か、悲しみの失意か.....」
...もっと見る[警報!乱闘発生!!勃発元は空部屋XXX!周囲のトルーパー全滅!!]
「.....あらあら。結局彼は、友を倒してまで我々と対する道を取りますか.....」
バァン!サイレンも気にせず物憂げに遠い眼をするワイズのもとへ、ノックもせず駆け込んだトルーパーが必死を示すような動作で訴えかけてきたではないか。
「......!!......!」
「どうしたワイズ?」
「オレは客取りに行ってくるぞ?」
な!?驚愕するワイズに二人が問うと、彼は混乱したように頭を押さえ、眼を見開きながら返す。
「ジ、ジーニアスがッ!和泉アラタと共にトルーパーを殲滅、ヤツを連れ出し部屋を出たようです......!!」
「ハァ!?」
「な、何ィー!?」
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「すまない!それによくここまで耐えてくれた、和泉クン。ありがとうっ!」
[エアシューター]
腹にファンが開き、打ち出された旋風がトルーパーを吹き飛ばした。
「今更気にすることちゃうわ!エエってことォ。」
対するアラタも晴れやかな笑顔で木刀を振りかざし、阻む連中を壁に叩き付ける。
敵わないなぁ、小さく笑いながら領也は肩から外したメタルブレードで敵を薙ぎ払いつつ、アラタに言葉を続ける。
「和泉クン!地下に厳重セキュリティを付けた扉があった。恐らくアレが『超越不審者』の源に通じている!そこを壊すんだ!!あと、これを持ちたまえ!」
「ん、なんやこれ?まぁ今はエエか、あいよ!」
投げ渡された箱を不思議がるが、そう合点して更に駆け出そうとした矢先、
「チェエエストォオ!!」
「ッ!!」
勢いよく飛び込んだ何かによって爆風が上がり、咳き込むなかで二つの影が立ちはだかった。
「ちょっとちょっと!滅茶苦茶にして帰られちゃ困るんだけどぉ!?」
「よくも荒らしてくれたなぁ!?」
「なんやコイツら!?」
「YAKATA執行部アタッカだよ!」
「ロウダーだァ!!」
挨拶もそこそこにアタッカがアラタに距離を詰めると殴り付け、ロウダーがタイヤを纏うと体当りを仕掛けて二人に襲いかかる。
アラタやジーニアスも応戦するが、奴らの拳やスピードに拳やエネルギー弾をはじかれてしまい、思うように行かない。
「コイツら、速い!」
「フッハハァ!この間のオマエはオレ達を避けただけだったからなぁジーニアス!真っ向なら敗ける気はねぇ!」
「お前ら、この感覚.....ウォリヤと同じや!」
「ピンポン!アイツも執行部だよ!」
冗談じゃねぇ!アラタは呆れながらアタッカの拳連打に防御をとる。
「こんなの四人もいて堪るか!?」
「ハァッ!まぁだまだいるけどなぁ!!」
タイヤでスピンを効かせながら近寄ったロウダーの蹴りでよろめいたところへアタッカが勢いを強めていく。
「そらそらそらぁ!!」
「ハッハッハッ、せっかく『チカラ』を与えたのに、こんなもんですかぁ?」
ワイズ!?遅れて来た人物に一同が驚く。
「チカラ?ソイツは、コレのことかい!?」
しかし眉ひとつ動かさずにジーニアスは取り出した鉱石をワイズめがけて投げつける。
「......」
避けた先で砕けたソレを見据えながら黙り込むワイズに、ジーニアスは笑った。
「そんなの只の魔晶石に細工をしただけではないか。ワタシが意のままだから何をあげても良いと思ったのかい!?」
「くぅ、貴方に偽のチカラを授けたのは正解だったみたいですねぇ。しかしいつからプログラムが無効に......!?」
教えないねぇ、焦るワイズにエネルギーを射ち放ちながら執行部から距離を取ったジーニアスとアラタは木刀を叩き付けた衝撃波で撹乱し、目的地へと急ごうとする。
「フッ、フフフ。さすがですねぇマスタージーニアス。やはり一筋縄では行きませんか.....」
ワイズ.....見つめるアタッカとロウダーを追い立て、奴は装置を取りだし、力を込めてひとつボタンを押した.....
「グッ!?ガ、ガァアアア!!?」
「りょ、りょーやさん!?」
いきなり膝を着き、頭を抱えながら、全身に迸る電流に領也が苦しみだす。
「サンは、いらないぞ和泉クンっ!ワタシに構わず先に行け!」
「ワタシが手中に納めてもなお、報酬に偽のチカラを授けるような方をォ.....単純な構造のヒュプノスプログラムだけで手を打つと思いましたかァ!?」
狼狽えるアラタに苦しむ領也、柔らかな物腰を保ちながらも、どこか威圧的な物言いでワイズが追い付いた。
「甘いんデスヨォ!!ヒュプノスプログラムには先の先を読んで処罰の機能もあります!姑息な離反でどうにかなると思わないことですねぇ!」
狂ったように笑うワイズに苦々しく視線を向けるがしかし、こんな状態ではどうにもならない。
「りょ、りょーやさん!」
「和泉クン!速く行きたまえ!あそこさえ台無しにすれば、奴らは暫く休業せざるを得ない!」
その声を聞き、彼の切実な物言いに思わずアラタは駆け出し、先を急ごうとした.....
が、足が動かない。
当然だ。
敵の言う『チカラ』の為に今自分が切り落とそうとしているものはなんだ......?
それを思えば、考えている暇などない。
アラタは切り返し、叫び、領也に手を伸ばした。
「!?!?よせ、和泉クン!!!」
「やめねぇよ!アンタさっきいきなりボッコボコに不意討ちしたやろがい!!」
「馬鹿者、言って、る、場合、か!?」
グガアアア!!電流の迸る中、アラタは躊躇なく彼のスコープゴーグルーーヒュプノスプログラムを掴み、感電に巻き込まれた。
「ぶっちゃけアン時、グッ、ウォアア!!ムカついたからな!仕返しに今は、アッ、今はりょーやさんの言うこと聞いてやらんわ!!クォオオオオ!」
「アッハッハッ、愚かですよォ、ガッチリ設置したヒュプノスプログラムを素手でなんて、プログラムの本体を見破ったところで、なんにもなりませんよぉ?」
「う、る、せぇええ!!」
「和泉クンンンン!!」
歯を強く噛み、脚と腕に力を込めて勢いよく引き抜くと、メリメリと嫌な音を立てながらスコープが剥がれ、放り捨てたところで一思いに木刀で叩き潰す。
爆炎が上がる様子に狼狽える執行部達と息を切らせてへたり込む二人。
休む暇はないと勢いよく立ち上がり、アラタとジーニアスは少しでも地下へと近づくために足を運んだ......が、
「遅れてすまん、行かせぬわ小童ァ!!」
目の前にそそり立つ巨体、ウォリヤに歓喜する三人と対照的にいよいよ敗けのため息を吐こうとするアラタ達......
「うわっ!」「な、ナァ!?」
「なんだこりゃ!」「何!?」
と、急に煙が立ち込め、四人が突然のことに困惑するなか、煙が薄まると、アラタとジーニアスの影は消えていた.....