53: ディジェイヌ
2026-07-05 20:34:14 ZTJhNWFm(50)
Rrrrrr.....
「Oh,テレフォン?」
YAKATAビルのブリーフィングルーム、Mr.プレジデントは携帯電話を取出し応対に出る。
「ヘロー、モシモシ?オウ、ハニィ!?」
は!?その言葉に、ロウダーとアタッカは唖然とした顔で電話に頭を抱える彼を見つめた。
「リラァックス!ミーはユーの従順なハァズバンドデェス、HAHA.....」
「ウォイ、プレジデントー?」
先程からカケラも想像したことのなかったやり取りをする彼に、思わず通話中に構わずロウダーは声をかけてしまう。
「今すぐニ、ケチャップとサムヴェズィタヴォーを買ってこい!?オォウ、バァット....Noooo!クールダウン、マイハニィ!?ハリーアップでドゥーイングですカラァ~!」
オイ待て!?ロウダーの制止より先に、慌ただしく立ち上がったプレジデントは小走りにルームを出ていってしまった.....
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「えええ、あのオッサン大して活躍しないまま帰っちゃったんだけど~.....?」
アタッカは呆れたように頭をかくが、すぐに顧客リストを見て満足げに笑う。
「それに引き換えトゥナードの奴は結構楽しんでるみたいだねぇ、にっしし。」
「ああ、まぁ~六月九月はアイツの領分みてぇなモンだからなぁ。」
おっと通信だ、ロウダーが手元のブザーを聞くなりスクリーンを立ち上げてボタンを押すと、また聞き覚えのある不敵な笑い声が響く。
[お久し振りです、皆さん。]
「あ、ワイズだ。」
「まだ1ヶ月たったくらいだぞ。」
で、ボソリとこぼしてからロウダーが用件を聞き直す。
[いえいえ、少し開発に余裕ができまして。片手間にちょっと面白い実験を出来そうだったんで、本社に戻る予定なんですよ。そのため連絡しました.....]
「ちょうど良かった、アノ白人特に見せ場もないまま帰っちまったから困ってたんだ。」
[フッフフッ、そうですか。今回持ち帰る開発はかなりのモノになりそうなので、それでは.....]
通信を切るワイズの言葉が気になりながらも欠伸を1つ、二人はめいめい部屋を出て今日やることを探しに社内を廻りだした.....
EP20「因縁の邂逅、謂れ無き怨恨」
「わぁー、すごい.....」
「また、来るとはな.....」
賑わう喧騒、おおよそソレが一学園の文化祭であろうなど、一目では誰も思わぬであろう、大掛かりな山車や恐竜型ロボットのパレードに、遊園地と見紛う本格的なアトラクションの数々.....
麻帆良学園文化祭、こと『麻帆良祭』。
少年はどこか感慨深く辺りを見回した.....
「それはそれとして、何そのカッコ?」
雛菜から困惑気味に聞かれ、アラタは軽く笑う。
何故かパーマヘアのウィッグを頭に乗せ、円いサングラスをかけた彼の姿には無理もないだろう。
「ははは、まぁこっち来て色々見つかったりしたらめんどいしなー」
「イヤ、却って目立つと思うんだけどぉ.....」
良いんだよ、アラタは笑いながら言う。
「いざって言うときは守るから任しときって!」
そういう問題じゃないから、溜め息を吐く雛菜をよそに、彼は先日の領也との会話を思い出す.....
ーーーーーーーーーーーーーーー
「え、麻帆良祭?」
「ああ、折角やるんだ、新垣クンでも連れて行ってみたらどうだね。」
なんでまた.....口を尖らせるアラタに領也は続けた。
「ホラ、キミは新垣クンに、昔のことを殆ど話したことがないじゃないか。キミの思い出の一端でも、この際だから曝け出して良いんじゃないかな。」
そりゃそーかもしれんけどさー、ひとつ欠伸をしながら蚊を追い回す彼を呆れて見ながら悪戯っぽく笑う領也は言う。
「キミ達はウェディングドレス撮影とかやり始めるくらいにはベストパートナーなんだ、あんなことがあったとは言えキミは多くを語らなすぎる。そういうことをやるならもっとお互いを知っておくべきだ。」
「イヤ、ただの撮影やろがい。それに、中学ン時の学校見せられても困惑やろ。それに......」
それに?聞き返す領也にアラタは溜め息を吐く。
「しれーっと麻帆良に帰って、連中に見つかったらあぶねぇ。」
それなら大丈夫だ、領也は応える。
「『彼ら』のことはワタシ達もいつも見てるからね。迂闊に変なことは出来ないようにはした筈さ。」
ーーーーーーーーーーーーーーー
「そんじゃ行くかっ」
ハズかよ、ボソリと漏らしながらもアラタは気を取り直し、雛菜に声をかける。
「ここは大学の研究会がやっとる奴やな。実際にマジの遊園地とかにも携わってるらしいわ。」
「え、本物の!?ちょっと、行ってみない?」
「うっわ、これスゴい美味しいよー!
......何してるのあら「ココデハソノナデヨブナー!!」
「えぇ、別料金で!?ここ中等部の肝試しだよね!?て、わわ、ちょっと!?」
「ハーイ、ココメッチャコワイッテヒョウバンダカラネー。ヒナチャンアルケナクナッチャウヨー?」
「いや、歩けなくっ、てか怖さ選べるって!」
「エラベテモコワイコワーイ」
彼は行く先々の出展や施設の紹介をし、雛菜もその度に感心したり驚いたりツッコミを入れたりと、まぁ満喫しているようだ。
尤も、中華屋台では変装が露骨になったり女子中等部がやっているらしい、別料金でその......まぁ、所謂オサワリができるらしい肝試しの近くを通るときは不自然なまでの素通りしたりと奇妙な行動も目立ったが気にしたら負けなのだろう。
ふぁ....欠伸をひとつこぼすと、極力人目を避けながら雛菜と並んで歩く。
「それにしてもスゴいねー、ここ。もしかしてさ、学園祭の規模とか聖櫻以上なんじゃないかな?」
「んあ?まぁーせやな。聖櫻は行事の頻度とか内容とかは異常やけどやること自体はよくある高校くらいやと思うしなぁ。やってること異常やけど。」
笑いながら返すアラタはふと、広場に出たことに気付き、目の前に落ちる花弁に足を止める。
「・・・・」
「どうしたの?あらたん。」
いつの間にここまで来たのか......神妙に目を細める彼の視線の先、人気のない広場の中央には、
「え?うわ、大きい...!大きくない?」
雛菜も目を見張るほど、異様な胴回りの太さを誇る幹がそびえ、遥か上方には淡い色を放つ花が満開でそよいでいた。
「世界樹。この学園の名物みたいな木やな。コイツには長いこと世話になっとるわ.....」
世界樹......復唱しながら雛菜は見据え、
「やっぱり、この木も何かスゴいことがあるの?」
「おう、せえやな。なんやったかな、文化祭にこの木の近くで願いを言うと叶うらしいで~、アホみたいやろ?」
「ね、願い!?」
「おーう。まぁ、そんな噂が立つくらいにはそれなりの力はあるんやろなぁ。」
なんたって.....軽く指をはじくとアラタの足下に一振りの木刀が突き立った。
「いつものコレはコイツの枝を加工したもんやしなぁ.....」
「へぇ、だからあんなに色々できるんだね。」
「多分な。」
淡く光る木刀と満開の花を順に眺める姿に、雛菜は一度固唾をのんで口を開く。
「あ、あのさぁ、あらたん?」
ん?不思議そうに顔を向ける彼の横に立つと目を細める。
「最近、毎日が充実してるんだよね。今までよりも学校が楽しく感じられて、気付くとあらたんのことを見ちゃうんだよね。」
暇人かい、呟くアラタに気まずそうに手を振りながら彼女は笑った。
「そ、そりゃ寝癖が気になるってのもあるし、キミの髪もセットのしがいがあって、そういう意味では勿論、もっとそれ以上の.....あらたんと過ごせる学園生活が嬉しいんだ......」
願いが叶うと言うのなら.....!
「だからねっ.....!」
瞬間、雛菜が向き直り言葉を終える前に、彼女の真横を裂くようにアラタが腕を振り下ろした。
「あら......たん......?」
戸惑う彼女の肩を軽く叩き、目付き鋭くアラタは近くの校舎の屋上を鋭く見据える。
「スマン、めんどいことになりよった。どっかのカフェで待っててくれへん?」
え?困惑しながらもその目付きが真剣であることを察すると頷き、
「その......チャキーンと済ませてほしいけど、無理はしないようにね!?」
去る彼女に手を振り返すと緩く笑う。
.....ま、無理するような相手じゃねえからよ。
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