51: ディジェイヌ
2026-07-05 20:33:09 ZTJhNWFm(50)
朝、雛菜は昨日の複雑な気持ちを抱えたまま登校する。
ふと、いつもよりも何やら騒がしいことに気付き、喧騒の現場へと駆けつけると、そこはよく立ち寄る公園であった.....
「あらたん......!」
「オイオルァ、お前らまぁた悪企みしやがって!」
アラタが啖呵を切った連中、ぞろぞろと三色の影が寄り集まった集団ーー便宜上、読者諸氏には、YAKATAカンパニーの平社員に属する彼らの『ヤカタトルーパー』という呼称を明かしておこうーー
奴らは案の定アラタに邪魔されまいと抵抗の意を示して彼に絡み付いて行った。
オルァ!!が、アラタが勢いよく木刀を振るうと呆気なく吹飛ばされていく。
「数だけ多くたって、鬱陶しいだけやで!!」
...もっと見る次々と殴りかかるトルーパーを投げつけ、追い払っていくが相変わらず切りがない、面倒臭い。
そんなことを思っていた矢先、頭上をひとつの影が掠め、周囲にエネルギー弾を撒き散らした。
「よ~アラタ、朝から元気そうだな。」
大振りな黒い銃のトリガーに指を通し、軽々と回す少年に、アラタは驚いたでもなく気さくに声をかける。
「おーナツ、おはよー」
お互いそんな一言をかわすなり、何事もなかったように群れへ走り込んで行く。
「あ、そうだ。そーいやナツさ~」
立て続けにトルーパーを斬り飛ばしながらアラタが思い出して口を開く。
「んお、どした~?」
少年は流れるように銃を放ちながら応える。
来栖 夏騎。
紹介遅れるが以前から何度か登場頂いている彼は、アラタ同様に彼らが二年生になった春先の転入生だ。
ハンター学科生であり、以前はひときわ凶暴な晶魔の棲息する、所謂『帯の外』と称される地帯で生活しており、特に手強いRED種を仕留めた人間では現最年少と、ハンターとしてのキャリアは並の高校学科生のソレを越えており、やはり噂では学科代表候補だとか既になっているだとからしい。
つまるところ、トルーパーでは障害物にもなり得ないのは確かだ。
「こないだ狩った奴の晶殻なんやけどさ、」
「んあー、アイツな。どうした?」
お互い言葉を交わしながら倒れたトルーパーを積み上げていく。
「やぁっぱボクには晶殻の使い道解らんから、ナツに預けるわー」
「そうか?わかった。」
おっと、アラタが影を蹴り飛ばしながら幾つか鉱石を放り投げた様を確認すると夏騎は長剣、ナイトフェンサーに持ち換えざまに回転を効かせて敵を斬り捨てながら晶殻の落下点まで滑り込むと全て掴み取り、アラタと同時に剣を振るうと風圧に巻き上げられたトルーパー達は全滅した。
「いっや~ええ運動になりよったわ~」
「良いアドレナリンになった。布団入りゃ秒で寝れるな~これは。」
もう寝るんかい、けらけらと笑い交わしながら公園を出たところで雛菜を見かけ、合流登校になったが、談笑するなかで、彼女が今見た光景は考えに拍車が掛かっていた。
うん.....
やっぱりあらたんは忙しいんだよ.....
いつも見てたから知ってるのに、ね。
EP19「託されたおもい」
よし、ウェディング撮影は忘れよう。
放課後、頭を軽くふるった雛菜は立ち上がり、2Cへ出向く。
いつも通り、私は健康管理をして、疲れている彼のサポートをするだけだ。
そう思いながら教室を覗くと、今日もその姿はない。
「アラタ君なら、不審者を探すって言って帰っちゃったよ。なんでもビショビショのシャツを見せびらかす残念イケメンだって~」
「そうなんだ。ありがとっ」
アノ人か、昨日の妙な男を思い返すと、明音に礼を言って校門へ向かう。
はぁ....ひとつ溜め息をもらす。
忘れよう忘れよう。
そうだ、久し振りに本屋に行こうか、新しいファッション誌くらいあるはずだ。
「お悩みのようだね、新垣クン。」
!ふと後ろからかけられた涼しげな声に振り返ると、アラタの保護者?らしい白衣姿の青年が軽く手を振る。
「志藤さん.....!」
「サンは、いらない.....」
フッと、領也は小さく微笑んだ
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「こんにちは、僕を程よく濡らす、良い雨だね.....」
「うわ、誰!?」「ちょっ、下着着なさいよ!」
戸惑う女子生徒二人にうっとりと目を閉じて首を振り、二人を見据える。
「仔犬のように震えているね?大丈夫。僕を怖がらないで。」
「アンタが気持ち悪くて震えてるわよ!」
相変わらず、この男の顔を見てなお、女子生徒達の対応は冷やかだ。
しかし、雨男はそんな彼女らの言葉を流しながら微笑みかける。
「ほら、僕と一緒にこの気紛れな雨を散歩しないかい?水も滴る良い男って、言うだろ?空が泣いてるよ、君を憐れんで、ね?」
「滴りすぎなのよ!あとアンタがあわれでしょ!?」
「雨なんかじめじめしてて濡れて、苦手なの。」
大丈夫!突然声を張り上げた彼に一瞬たじろぐが、お構い無しに青年は言葉を続けた。
「僕に掴まってて!どんな大雨でも、君達を守ってみせる!」
「だったら大人しく帰らせてくれない!?」
呆れきって怒鳴ると、
「僕と!この土砂降りを楽しんじゃいなって!!」
髪を粗く掻き上げ、高笑いをしだす彼はもはや聞いちゃいない.....
「お前かー!!」
うわっと!いきなり木刀を振りかざしたアラタに飛び掛かられ、慌てて退けるとそれを追いかけながらなんども木刀を振り回す。
「ちょ、やめたまえ!濡れて透けて落ち着こう!?」
「うるっさいわボケー!!」
少年に追い回され、雨男が去った後で彼女達は呆然としていたが、やがて歩を進めた....
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「こんな雨の日は、君より女の子といたいなぁ。」
「女の子は嫌がってるらしいんやけどソレは.....」
アラタがぼそりと言うと不思議そうな顔をする雨男だがしかし、不意に小さく微笑んで困ったように俯く。
「ごめん。濡れた僕が、人目を惹いてしまって......」
はぁ?公園に追い込んだ彼からの一声にアラタは唖然とする。
「女の子を魅了してしまう僕が悪いんだ。君も、僕みたいになりたいと思ってるんだろう?」
「いや、ヤダ。ゼッテーヤダ。」
一人で演劇のようにそこらを回りながら高説を始める彼にツッコミを入れるとしかし何てこともなく淡々と喋り立てる。
「君も男なら解るだろぅ、この濡れ感の良さ、美しさ、素晴しさ。ぷぁ!?」
だぁから解らんのやってばー、痺れを切らしたアラタに頭を叩かれ、つんのめるが、すぐに体勢を立て直す。
「い、痛いじゃないか!すぐ感情的になっちゃ駄目だぁ!?」
やっかましーわ、抗議もむなしくアラタから腹に頭突きを咬まされると雨の中で尻餅を突くがしかし、すぐにふらりと立ち上り、
ねぇ、そう聞きながら妖しい笑みを浮かべた。
「この雨がやまなければ....て思ったこと、ない?」
「無いよ。」
「梅雨が明けると、ゲリラ豪雨の季節だね.....?」
「え、そうなん?」
それは初耳と、不思議がって訊ねると、彼は手を高くかざす.....
雨が寄り集まるように強風が渦巻き、立て続けにアラタを突き刺すように水柱が落ちてきた。
「ハハハ、君もこの台風と踊ろうよ!!!」
「つめった!いよいよ正体現しよったか~」
気だるげに木刀を取り出すと、軽く回してから雨男へ向かって行った.....
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