「おはよう、心実ちゃん、明音ちゃん。」
「笹原先輩...!」「おはようございます!」
朝、共に登校していた椎名 心実と明音の後ろから、笹原 野々花が声をかけてくる。
三人が談笑しながら登校し、校門を抜けてしばらくしたところだ.....
「キミ達。人を訪ねたいのだが、ちょっと良いかな?」
?ガシャリと音を立てながら佇む姿に三人は振り返る.....
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「アラター!大変だよ!!」
んあ?教室で頭にペットボトルを立てたままウトウトと項垂れていたアラタが、つぐみの声に目を覚ます。
ペットボトルは落ちた。
「なんか、変なロボットみたいなのが椎名さん達に近づいてたよ!なんか危ない感じだった!」
ナニ?眠気を払い、アラタは立ち上がる....
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「そうか、2Cね、ありがとう.....」
「コラァア、何してんねん!」
三人にそう答える機械的な人物ーーマスタージーニアスはふと、遠くから迫る大声に振り返る。
激しい勢いで駆けてくる少年。
手間が省けたというヤツか、ニヤリと笑いながら掌を開き、
「え、ちょっ!?」
驚く明音をよそに中央の砲口からアラタにエネルギー弾を射ち放つ。
それを切り払いながら、アラタは木刀を勢いよく振り上げ飛び上がった。
「何をしようとしたァっ!!」
.....が、次の瞬間、ジーニアスは腕で木刀を防ぎ、額から泡を放出する。
うおっと、撹乱されたアラタは思わず距離を取るが、軽く手首を回すと再びジーニアスに殴りかかる.....
「おっと、流石だね!」
!カウンターで振り出された拳に、慌てて腕をクロスして防ぐその瞬間、アラタの身体に妙な感覚が走る。
「(この拳圧、まさか......)あんた......!?」
「い、和泉さん、その人は......!」
[エアシューター]
胸部のファンが展開すると数発の小型竜巻を生成し、少年向けて吹き付けるが、彼も再び木刀を抜くなり風を切り裂き、距離を詰めた彼の拳を軽くはじきながら懐に拳を叩き込み、
「そぉら!」
お返しと蹴り返されて宙を舞うも、そのまま急降下蹴りを咬ますと、奴はやはり腕で防ぎ、アラタももう一息と踏み込むも、競り合いの果てに何かを察したか、後ろに跳んで着地するなりニッと笑う。
「.....前より格段にキレが良くなったじゃないか。だが.....」
「やっぱアンタやったか~。」
「去年の夏祭から相変わらず考えるより先に突走るのは感心しないな。」
「ひっさしぶりやな、りょーやさんっ♪」
パワードスーツを解除した男.....取り出した白衣を羽織った、結わえた黒髪の青年にアラタがニッカリと言うと、
「サンは要らないぞ、和泉クンっ。」
そう彼は小さく微笑み返した。
EP17「秀才は機械仕掛けの鎧を脱ぐのか」
志藤 領也(シドウ リョウヤ)
麻帆良でも優秀な成績を修め、科学実験でも賞を取ったことがある男で、今の和泉アラタが在る切掛けになったと言っても過言でない人物だ。
言ってしまえば、とある危機からアラタを救い、その実力を見出だし、聖櫻への斡旋及び一年間の鍛練まで面倒を見たのが他ならぬ彼なのだ。
「しっかしまぁまさかりょーやさんがわざわざ来てくれるなんてなぁ。ボクと別れて寂しくなったん?」
「ハハハ、自分で始めたこととは言えヤンチャボーイがいなくなったことで研究がしやすくなったよ。
因みに、岩本クン達に発明を渡し、しろかをキミの現場に向かわせたのもワタシだよ。」
「あれりょーやさんやったんか。」
サンは要らない、ぼそりと付け加えながら領也は背負っていたケースを下ろすと錠を外していく。
「和泉クン、以前手軽な移動手段を欲していただろう?」
あー、聞くなりアラタは思い出したように頷く。
「せやせや。靴にターボ内蔵してても疲れるし、せいぜいがダチのバイクくらいやからな。」
そんなキミに朗報だ、にやっと口角を曲げると、彼はケースからモノを取り出し、アラタは目を丸くする。
赤い機体をベースに、黒い装甲とブースターの具わったジェットボードらしき機械。
「な、な、りょーやさんソレまさか.....!」
フフ、少年のリアクションに満足したのか、誇らしげな表情を浮かべると領也は言葉を続ける。
「アーカイヴズ『DRSS(ドクターライトサポートシリーズ)』より、いわゆる『アイテム2号』を元にしたボードさ。バイクより飛行性の方が好みだろうと思ってね。サンは、要らない...」
「オオオありがとぉ!りょーやさん好き!しゅき!大しゅきぃい!!」
「ハーッハッハ、サンは要らないぞ~和泉ク~ン!」
なお、樹達に贈った発明はこれの開発の片手間で造ったらしい。
笑顔で飛び付くアラタの頭をほれほれと撫で回すが、やがて思い出したように彼は新たな話題に移る。
「しかし驚いたよ和泉クン。よもや動物のような思考回路のキミがここに転入してすぐにキスなどしだすとは。」
ぷぇ?唐突な領也の言葉に、アラタは不思議そうな顔で首をかしげた。
「キス?そんなんボクしとらんよ?」
「おいおい。ちょうど四月末辺りに、近くの公園を女子と歩いていたじゃないか?」
んんん?ますます混乱するアラタはしかし、なんとなく整理しながら彼の意図を探っていく。
「確かにその頃女の子とおったけど......?てりょーやさんなんで知っとるん?」
「なに。気紛れで聖櫻近辺を視察していたら、偶然見かけたのさ。」
「なんだよー。声かけてくれりゃええやん。」
つまらなそうに口を尖らせるアラタに領也は疑念を抱く。
まさかこの少年は自分が敢えて声をかけなかった意図を読めていないのか?
いや、元々恋愛とかは無頓着な方だが(ワタシもだが)まぁ声をかけなかった理由は無論ある。
「そりゃ、サプライズでボードを渡すためにね、作製しなきゃいけなかったからさ。で、どうなんだね?」
どうなんだね言うても....不満と疑問が晴れないアラタだが、
「あらたーん、会わせたい人って?」
「オ、来た来た。」
遠くから歩いてくる少女を呼び、隣に立たせると領也はピンと来たようで納得して頷き、雛菜も彼を目にすると少し背が強張る。
「こんにちは。あらたんと仲良くさせて貰ってる、新垣雛菜です。お話は聞いてますよ、志藤さん、ですよね?」
「ああ、如何にも。始めましてだね。大体のことは聞いていると思うがワタシが志藤だ。よろしく、新垣クン。」
あとサンは要らない、会釈する雛菜に微笑みかける彼を見ると、アラタは雛菜に向き直る。
「なぁ雛菜ちゃん。ボクらキスしたことあったっけ??」
な!?ビクリと硬直し、雛菜はアラタの肩を掴む。
「ちょ、ちょっと!?な、な何言ってるのイキナリ!?」
「えー。だってりょーやさんが、花見でボク達そんなことやっとった言うんよ。」
ええ!?動揺する雛菜と対照的なマイペースのアラタは話にならん、元凶の男に顔を向けると、
「公園のベンチに座ってて暫くしてから、キミが和泉クンの前に立ったじゃないか?和泉クン、サンは要らない。」
「へ?」
次の瞬間、雛菜は抜けたような声を出す。
当時の状況が鮮明に甦る。
忘れもしない、初めて二人で出掛けた日、それなのにブレザー姿だった彼。
そしてそのことに気付いたキッカケ.....
ア、アノ、志藤さん.....火照りが治まらないまま彼女は口を開く。
「なんだね?サンは要らないよ。」
「ソレ、ネクタイと襟直しただけ、デスヨ.....」
え?今度は領也が呆気に取られた。
よくよく考えれば道理で、アラタがあまりにも動揺しなさすぎる訳だったのか。
ハハ、ハ.....苦笑を浮かべながら彼は言う。
「ハハハハ、そっか、そういうことか。イヤー驚いたねぇ~、ハッハ。」
「ドスケベりょーやさん恥じぃゾ~コレ。」
「うるさいよ和泉クン、サンは要らない...!」
ボソボソと言い合う二人をよそに、紅い頬をおさえ、内心穏やかでない雛菜は軽く呼吸を整える.....
と、
「おーい騒がしいぞ和泉~、て.....」
政子が呆れながらやって来たが、いつもの二人と共に佇む人物に目を丸くし、その人物も相当驚いたようだった。
「マサさん!」「おまえ志藤か!?」
え?間をおかず声を上げる二人にアラタと雛菜は呆然としていた。