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『くっだらね…』
淳、在路、阿久津の心が異口同音に共鳴した。
ヒホホ、フユキの主張に頷いて同調しながらジャアクフロストが親指を自らに突きつける。
「コイツの言い分はよくわからんが、コッチの世界で遊びたいけど身体を顕現できないオレサマと吹雪を求めてるフユキ…偶然会った意見の一致であのカジツを依り代に疑似契約を結んだんだホー!お陰でオレサマはこっちで遊びホー題!!」
くははは…!狂気じみた笑いを上げながら、フユキは得意げに言う。
[そしてコイツがドカ雪まみれにしちまえばイベントとか言ってる場合じゃなくなるぅ!クリスマスもイルミネーションも中止だぁ~!]
異様に高揚したテンションで騒ぐフユキに応えるように、またしてもジタバタと手足を振り乱してそこかしこに氷塊を撒き散らす。
...もっと見る「ヒーホー!アイスシュート!」
巨大な氷塊を生成したジャアクフロストがアラタ達目掛けて蹴り放つ。
「チィ、アラタッ!」
おうよ!燃える手でサラが彼の木刀をなぞり、刀身に火焔を灯すとアラタが居合抜きのように迫って力いっぱいに叩き付け、
突進が止まったところをサラが抉りこむように焔の拳を叩きつけてたちどころに溶かした。
[スキーしようにもゲレンデだって閉鎖ぁ~~!!]
「ヒーホー!ジャックブフーラ!!」
ジャアクフロストが上空に冷気を吹くとジャックフロストの氷像を生成し、二人目掛けて落下させる。
けたたましい音と共に像が粉砕した衝撃で投げ出されたアラタとサラが息を切らす。
「あああ、待ってまじで寒みぃ!」「なんーやあのクソダルマ好き勝手やりやがってぇ~!!」
そしてぇ!!ジャアクフロストの暴走ぶりに気を良くしながらフユキは相変わらず喧しく吠え散らかす。
[寒いとカカオも育たないから、勿論バレンタインだってやめやめぇ~!!うはははは!!]
ジャアクフロストはまたしても両手を振りかざして氷塊を降らせて逃げ惑うアラタ達を執拗に追い込んだ。
「えぇ~!?バレンタインまで!?」「そんな、ひどい…」
「葵?泉ちゃん?流石にそれはちゃうねん…」
ズレた言い分に落胆を見せる泉と葵に、頬を掻きながら茜が苦笑いを浮かべる。
「ヒーホヒホヒホ、テメェら寒そうだホー?オレサマに勝てるわけがねぇんだから大人しく帰れホー!」
[そーだそーだ、クッッソ寒いのに無理してうろついてないで、炬燵でミカンを食べながらクーネルエンゲイザーしてな!]
「じゃがあしい、お前らの悪ふざけもここまでや、サラ、もうちょい堪えてな、手はあるで!」
「あ、ああ。元よりオレ達に燃やせないものはねぇ!だろ!?」
二人、肩を叩きあいながら氷塊のつぶてに構える。
ストライクバーナー!両手から火炎を打ち出してサラが氷激を迎え撃つと、猛攻が緩んだ隙を縫いながら木刀を構えてジャアクフロストを目指す。
「ヒッホホ、今のは『上級氷雪魔法(ブフダイン)』じゃねぇ、『初級氷雪魔法(ブフ)』だホー!」
「やっかましいわ!」
アラタがハリセンですっぱたくようなキレで木刀を横面に打ち据え、その巨体に尻もちをつかせる。
一方でサラが目を輝かせる。
「なんか今のかっけーな!?オレもそういうのやりてぇ!」
援護射撃の手を止めたサラが手に焔の刀身を宿し、てアラタのように氷を斬り払いながら距離を詰めると、立ち上がる直前の奴の腹を一思いに斬り付けてまたしてもダウンを取る。
「今のは『ストライクバーナー』じゃねぇ、『フレイムソード』だッ!!」
・・・
「ちゃ、ちゃうねんサラ。そのセリフはそーゆーんやないねん…」
「アイツら凄まじいことになっとる割に余裕そうやな…串間クン、泉ちゃん、あの二人ホントに何なん?」
「あ、茜さん。えーっと…なんて説明すれば良いんだろ…」
「イヤ、説明のしようがないんだよ。悪りぃけどそういうものだと思って受け流してくんねぇ?」
茜の的を射すぎた疑問に泉は歯切れ悪く、淳は遠い目でそう応えるしかなかった…
そんな時だ。
「なーヌシ、あれマジワンの車じゃね?」
不意に近づいてきた山吹色を基調とした車を見るなり、阿久津が在路の肩を小突く。
マジワン…彼らにとって近い地区‐サラというなんだか物理的に燃えている少年の制服が示す『昇星』にあるカレー専門店『MAJIナンバーワン』の配達車ではないか。
やがて停車するなり、岡持を携えた男が身を抱えながらかじかむサラに近寄るではないか。
「サラ、貴方バイトを休んで何をやっているのですか?」
「おお。師匠!どうしたんよ?」
呆れ気味な声に振り返ったサラは驚き交じりの顔で応える。
彼が師匠と呼んだ男‐マジワンの店長は岡持一皿のカレーライスを取り出す。
「和泉くんの根回しでしょう。例のアレを持ってくるようご注文を受けましてね。あ、お代分は減給しますよ。」
「それ見たことか、このクソサムコンビ。お前らももうおしまいやで!ジョーにメモ渡しといて正解やったな!」
得意げに笑うアラタ、そして彼がジョーと呼ぶ友人‐淳を目で追いながら受け取ったサラは顔を輝かせる。
「マジかよ!ありがとな、お前ら、師匠!!そんじゃ遠慮なくいただきます!」
サラはその場で胡坐をかくなりカレーライス‐と呼ぶべきなのか、さながらマグマでもかかった料理のような何か…もとい『マジキチインフェルノ』をスプーンで抉り上げて食らいつく。
あ、因みにこの『マジキチ』は『マジで鬼畜』の略です。(規制対策)
「ねぇ、何、あの…何…?えげつない色してるんだけど…?」
「カレー、なのかな…?」
そこそこの距離があるはずなのに微かに漂う香辛料の香りとその見た目にゆかりが顔をしかめ、葵が首を傾げる。
「あかり、アンタやったらイケるんちゃう?」
「いやー…流石に遠慮したいかなぁ…」
茶化す茜にあかりがすっとぼけた。
そんな間にも一心不乱にカレーを貪るサラ、守るようにジャアクフロストの猛攻を耐えるアラタ。
「ヒーホホホ、相方が飯食ってるだけでオレサマが負けるワケ無いホー!」
全身に雪を寄せ集めて巨大な雪玉と化したジャアクフロストがそのまま転げまわっては縦横無尽に跳ね回る。
圧し潰す勢いで迫る姿にアラタは跳んで避けるが、やがてその動きを見極めると、奴が上空を取るなり木刀を構える。
[お?なんだお前、諦めた感じぃ?]
「もらったホー!」
おちょくるようなフユキと得意げなジャアクフロスト…しかしアラタは木刀に淡い光を滲ませると、姿目掛けて勢い良く木刀を振るった。
ヒホー!?打ち上げられた衝撃と共に雪玉が崩れ、ジャアクフロストは地に叩きつけられた。
「はは、闇系の力を得たお前やったらボクの力は相性悪い思うてなっ。」
[ぐぇ、何やってんのお前!?]
「ヒホー、ちょ、ちょっと油断したかホ?」
ニヤリと笑うアラタに苦い顔を見せると、追い打ちをかけるようにサラが叫ぶ!!
「っしゃあ!ごちそうさん!!アラタ、良いぜ!」
「おっけーサラ、Show‐Timeや!!」
木刀に残った光を足に注ぎ込んだアラタはそのまま空高くに飛び上がり、その場で体を捻って勢いをつける。
追うようにサラも焔を手から打ち出した勢いで上空のアラタの背を取るなり、アラタに焔を打ち放つ。
焔諸共に打ち出されたアラタは急降下の勢いを乗せて足を突き出し、グロッキーなジャアクフロスト目掛けて蹴り込み、
[オイ、早く何とかしろ!?]
「ヒ、ヒホホー!?足が回らんホー!」
「いくでコラ!サ ラ マ ン ア ラ タ ー キ ー ッ ク !!」
(イノチハーハテルーコトーハナイー…ゲッダンゴーッ!!)
淡い光と融合した…謂わば聖焔を纏ったアラタの足がジャアクフロストの胸に叩きこまれて、
奴は勢いよく身を投げ出して転がり、ジャアクフロストから分離するようにフユキも飛び出して昏倒する…
アラタの着地と共に熱波が広がり、モール一帯の豪雪も、黒雪諸共にその姿を眩ませ、事態は収束した…
「いや、焔で竜でキックだけどショウタイムじゃねーのよ…」
阿久津がボソリとツッコんだ…
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「なんーかもう面倒だし、いいっか。寒くてしんどい、何にもやりたくなーい…」
ボロボロの衣服…ぐすぐすと不貞腐れながらフユキは肩を落として歩き去っていく。
「ヒホ、さっきの技のせいで逆にオレサマが向こうに帰れなくなったホー。もうしばらく一緒にいさしてもらうホー。」
「冷た!?寄るな、お前存在が寒いんだからさぁ!」
「ヒホッ!?オマエの方が冷たいホー!?」
いわゆる聖、光と定義できる木刀の魔力を受けた影響かこちら側で実体化し、体躯も平均的なジャックフロストよろしくの子供サイズに縮んだジャアクフロストが、
掌を返すように突っぱねるフユキに抗議する…