楓太「おっしゃお前ら時間切れ〜〜!!」
柚子「(あっ、やっと二分か、なんか長かった〜…)」
楓太「それじゃ尋常に…勝負ッ!」
淳「いっせーのぉ……!」
アラタ「ウハハ、やーねーまーでーとーんーでー!」
介斗「…ッ!……ッ!!」
大一「で〜す〜ぞっ!」
...もっと見る柚子「それでまぁ兄もホク兄も一緒になってさぁ〜(うわ始まった!っていうか屋根までトブ!?でっかくとか言ってなかったっけ?)」
桃子「あれはびっくりしたよねぇ〜」
伊吹「あ、七月先輩と言えば最近南田先輩とはどうなの?」
おおーーっ!!彼女達の談笑をよそに湧き上がる歓声、思わず柚子はビクリと反応してしまう。
楓太「ひぃ、ふぅ……よし、全員ちゃんと出せたみてぇだな!」
淳「一番デケェのは…ンだよアラタか。こんなとこでまでなんでもアリ発揮してんじゃねぇよ。」
アラタ「いぇーいピスピース!!二番目は……介斗くんやな。」
介斗「そう、みたいだね。びっくりだよ…」
柚子「いや〜ホク兄はああ見えて繊細なところあるしどうなるか…(アラタ先輩はともかく、二番目がまさかの曽良先輩!?たしか男子の中でも小さい方だよね!?)」
桃子「でもずっと今のままも南田先輩可哀想だと思う。」
淳「で、槌野は……俺とあんま変わんねぇな、僅差ってとこか。」
楓太「まっ、そりゃ誤差はあるし、コレは同率3位ってとこだな。」
伊吹「なんていうか不器用って感じだよねぇ〜」
真由里「ッスよね〜、面倒見良くて優しいのはわかるんスけど。」
柚子「ほんーとほんと!もっと素直になれば良いのに〜(串間先輩がこんなことやってるって聞いたら泉ちゃんどうなっちゃうんだろう……?)」
大一「えちょっまっ、マジですか!?圧倒的ピンチ!」
淳「ブフッ、ちっっさ。圧倒的最下位、だな…」
楓太「二言は無しですぞ渋木くぅ〜ん。」
介斗「渋木くん、僕の分は無理しなくて良いから…」
大一「いいえ!不肖渋木大一、ルールには従いますぞ!所詮フルーツ牛乳五本が何だと言いますかっ!無念…!」
アラタ「ンま、とりあえず今回の優勝はアラタクンってことで!」
柚子「コッ!?」
桃子「ユズちゃん?」
柚子「こほっ!?ごめんモモ、ちょっと噎せちゃった!(今回!?何回もやってるのソレ!?)」
「っせぇなお前ら!さっきから声でけーよ特に槌野、アラタ!」
不意に飛び込んできた予想外ながらも聞き慣れた声に思わず柚子はハッと顔を上げた。
柚子「(まぁ兄!?イヤイヤ、もう声が大きいとか絶対そういう段階じゃないよね!?なんでここにきてうるさいことへの注意!?)」
アラタ「おーうマタサブロー!」
介斗「だよね、うるさかったよね、ゴメン…」
槌野「ンだよ箕浦〜、お前も参戦すっかぃ?」
大一「め、めめ、名案ですなぁ!ここは一先ず仕切り直しの6人勝負と行きましょうぞ!」
淳「おいドサクサにワンチャン最下位リセット狙ってんじゃねえぞ渋木ィ。」
柚子「(仕切り直し!?もう一回!?そんなに何度もできるの!?毎回そこまで大きさ?って変わるのぉ!?よくわかんないけど!!)」
雅一郎「イヤ俺はやんねぇよ。お前ら楽しむのも結構だが声は程々にな。」
柚子「(恐ろしく冷静な拒否!いつもみたいにツッコまないの!?っていうか楽しむって!なんでそんなこと容認してるのまぁ兄!?)」
おや?諸々を終え、湯船に入り込んだ影が見るからにあたふたと困惑している柚子を見かけるなりスイスイとにじり寄り、耳元で緩めた口元を開いた。
「ふふ…殿方はお元気で良いですねぇ、葉月さんっ♪」
柚子「!?!?ッ新田さんンン!?」
ああ…あ……
桃子「あや!?ユズちゃん!?」
真由里「どうしたんスか!?」
ユーリヤ「お顔真っ赤ですよ!?」
伊吹「のぼせちゃってるよぉ!」
柚子「あ、ははは……も、もぅ、ダメ…」
萌果「(や、やりすぎたかしら……)」
思考のショートといったところか。
不意に脱力し、顔を火照らせ背もたれに崩れる柚子を居合わせた女子達が寄り添い、萌果は内心自省する。
当の本人は頼りない笑い声とともに目を回し、赤い顔からうわ言を洩らしていた……
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「くぅ、なんたる無念。流れからすればどう考えても提案したフータ氏が惨敗する展開だったのに……!」
「ダッハハ、んまぁこればっかりは時の運だしなっ!」
「まっ、渋木センセの次回作をお楽しみにってか。」
5本、黄色の瓶を抱えてさめざめと負け惜しみをこぼす大一の肩を両脇から叩く楓太と淳が煽り、
「し、渋木くん…本当に僕のことは」
「ダメですぞ介斗氏!スジはスジです!!」
当の大一は申し訳無さそうにおずおずと口を挟む介斗にキッパリと応じる。
・・・
「ふぅ、まだフラフラするかも…」
「おぅユズ、大丈夫か?」
なんとか落ち着いて顔の熱も冷め立ち上がった柚子に馴染みの気さくな声がかかる。
「あっ、まぁ兄。うん、ありがと……」
「モモがなんか考え込んでたみたいつってたけどどうしたんだよ?」
えっ!?その質問に経緯を思い返す……が、すぐに発端を思い出すとなんと言えば言いか迷い言い淀んでしまう……
と、
「でもさぁ〜、フルーツ牛乳なんて一番高いつって300円だし次はもっとハードル上げねぇ?」
「良いなぁ〜」
「みんなっ、流石に程々にしなきゃ……!」
「フータ氏淳氏、自分が絶対勝つと思って調子こくと痛い目見ますぞ〜」
相も変わらず寄り集まってワイワイはしゃぎたてる男子陣を見て意を決する。
「ねぇ、先輩達随分盛り上がってたけど、さ……その…何やってたの……?」
…へ?声を潜めた割には思わぬ問いに抜けた声を上げる雅一郎だが四人組の様子にあーっと納得すると頭を掻く。
「聞こえてたかっ。まぁ槌野とアラタは声デケェからなぁ〜……アレだよ、手シャボン。」
・・・
「手、シャボン……??」
聞き慣れない言葉に一層首を傾げる柚子をヨソに、雅一郎は両手で輪を作り、中央にフッと息を吹き付けるではないか。
「ホラ、手に石鹸塗ったくって指で輪作って〜ってヤツだよ。ユズもやったことくらいはあんだろ?」
……暫し黙していた柚子は彼の言い分にだんだんと記憶を呼び起こされていく。
思い出されるのは、幼稚園や小学校の流しで桃子と共に石鹸まみれの手でOKを作り、ひと吹きしたシャボン玉が飛び出しては喜んでいた光景……
「っ!アレ!?アレ5人でやってたの!?」
「そっ。一発勝負で誰が一番デケェの出せるかって、アイツらよくやってんだよ。」
「・・・へ、へぇー……」
大きくする勝負、家でも練習している、そして何より『屋根まで飛んだ』というアラタが口走っていたフレーズ……
じっとり。
風呂上がりなのに既に汗が浮かび顔がまたしても熱を帯びてくる。
余計なことを言うまいと無理やり引き結ぼうにもわなわなと震えてしまう口元、反応に困り震え出す肩……
「ど、どうしたユズ!?」
「ユズちゃあ〜ん」「落ち着いた〜?」
振り返った先ーー歩み寄ってくる二人に即座に距離を詰めた柚子は
「モモっ!伊吹ちゃあん!?」
「あやや!?」「な、なになに!?」
「ドッッと疲れたよもぉ〜〜」
二人に抱きついたままぐったりと脱力した。
「あやや〜!?今お風呂、」「入ったばっかなのに!?」
※
「やっぱり銭湯は良いですね。賑やかってだけでこんなにお風呂がいつもより楽しくなるなんてっ。」
「それなぁ〜。めっっちゃわかる。」
扇風機に当たりながら笑顔で話すユーリヤに目を細めながらアラタも返す。
「(ヒトのカネのフルーツ牛乳キメつつ風下ポジションで湯上ガーリヤちゃんを合法的に一服吸う。これ程の幸福はあらへんでしかし……)」
内心ではオークやトロルのように醜悪な笑みを浮かべていた彼だが、不意に鳴った電話に気付き応じる。
「どったんりょーやさん?」
[和泉クン、サンは要らない。隣駅の周辺に超越不審者が現れた。至急向かってくれたまえっ!]
・・・
「イヤ今風呂入ったとこなのにマジかいっ!!!」
\おひらきっ!!/