78: ディジェイヌ
2026-07-19 23:39:21 NzY0ZTU2(69)
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●和泉 アラタ『酔っぱらいのオバケ』
ーーいやーいきなりやけどオバケってホンマにおるんやなぁ。
前にボクが地元行っとった時に近所のおっちゃんからお使い頼まれてな?
その日、おっちゃんが海外のワイン届くんやけどミスって宅配事務所宛にしてもうたうえに一週間仕事キツくて営業時間に間に合わん言うて受け取って欲しいって頼まれたんよ。
それで受け取ったはええんやけど、届いた時間が結構遅くなってもうてな、当然ボクの帰りも遅くなってもうたんや。
それでも暗がりの中帰っていた時、ふと奇妙な気配を感じたんや。
もうひとつの足音が明らかにボクに合わせとってな。
...もっと見るでも気にせんと進もうとしたらソイツ、「オイ」なんて声掛けてきよったんよ。
なんやイヤやな〜思いながらしゃーなく振り返ってみたらオバケいたわ。
3つの目、真っ赤な顔に尖った歯と角、しかも瓢箪片手におぼつかない足取りでぷらんぷらん寄ってきたんよ。
そんなん見たから流石にボクも確信したわ。
あー、コイツはオバケやし、しかも酔っぱらいなんやなって。
そんな奴がいきなりオイオイ話しかけてきよったもんやからな、ボク言うたったんよ……
「(おっ、来るか……?)」
「(そういうことですな。)」
「ふふっ……」
「(おいおい、早ええよ。)」
一様に何かを察し、どこか期待に満ちた面持ちで笑みを浮かべる四人の反応を楽しむように見回してからアラタはニッと笑いながら締めの言葉を言い放つ。
「こ の ワ イ ン は 、ワ イ ん や 。」
・・・
暫しの沈黙の後、表情を引きつらせていた4人がドッと吹き出しながら、笑い声を響かせる。
「ワハハハ、イヤそっちかよ!?」
「いやはやアラタ氏、そうきましたかぁ。」
「てっきり『何かようかい?』かと思ったよねぇ……」
「そもそも別にお前のワインじゃあねぇだろ……」
「そらまぁ〜ワイン持っとる時に酔っ払いがいきなり絡んできよったんやからそういうことかと思うやろ〜」
腹を抱えていた4人に同じく笑いながら答えるアラタ、部屋に一層の笑い声が響き渡っていた。
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「でっっけ……」
家主である大一の本棚にあったソシャゲの画集を眺め、楓太は際どい装いの美少女のイラストに思わず感嘆の声を漏らす。
が、ふと顔を上げると友人の様子を見回した。
「アラタ氏は歯車を、淳氏はケーブルをもってきてくだされ〜」
「おう任せろ、多分このゴミ箱に入ってそうやな〜」
「えっと……こういうのは意外と一つ前で使ったやつを使い回すこともあるんだよな……」
マルチプレイで謎解きアクションパズルにいそしむ大一、アラタ、淳……
「えぇっ!?こんなどんでん返しが思いつくなんて、やっぱこの先生はすごいなぁ……」
一人で小説を読み耽る介斗……
・・・
しばらく見渡していた状況に黙していた彼は大きく溜息を洩らした。
「あーあっ、暇だなぁ〜。」
そもそも5人で100話も用意するなど無茶の極みである。
オマケに揃い揃って用意できた話も先程の体たらくと来たもので、全員一通り話してしまえばもうネタ切れにもなるだろう。
ふと、誰ともなく腹の虫が虚空に鳴り、
「なぁ、今何時だっけか?」
それを機に楓太が問うとやはりそれぞれにスマホを取り出して待受を眺める。
20時30分。
結局百物語(?)が1時間かからず終わったことを考えると随分時間潰しになってしまったものだ。
「なぁ……マジワン行かね?」
「賛成ですな。」
「そういやご飯まだだったね……」
「だな、今日はどうすっか……」
「せやなぁ〜、久し振りにオールトッピング決めっかしら……」
皆何かしらの転機を求めていたのであろう。
楓太の提案に全員が口を揃えて応じると、身支度を整え5人連れ立って行った……
華の聖櫻学園に通っていると言えども、毎日が刺激的な出来事に満ちている訳ではない。
何も無い日とは往々にしてこんなものであろう。
男達はいつだって退屈なのだ。
◎『僕たちの聖櫻学園〜ゾワッ、野郎だけの百物語〜』
E N D
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